180225 オリジナルミュージカル山三と阿国
2月25日(日)名古屋市青少年文化センター アートピアホールで、オリジナルミュージカル「山三と阿国」(さんざとおくに)が公演され、講師の伊藤千紗先生が出演され、SakuraCantabileの生徒を引率をし鑑賞してきました。
千紗先生はダンスの一員ですからと、消極的に宣伝していたようですが、ステージに出ずっぱりで、きれきれなダンサーたちに混ざって、全く遜色のない素晴らしいダンスを見せてくれました。名古屋なので行きにくかったかも知れませんが、これだけの活躍ならばもっとたくさんの団員に観てもらいたかったと思います。私も千紗先生が消極的だったので行かないつもりでしたが、1週間前にキャスト出演者から手紙が届き、それが私が桜丘の音楽科で3年間声楽を教えた生徒で、それも卒業してから私や友達とも一切連絡をとらず、どこへいったか消息不明だった生徒でした。
その手紙には、高校3年間での自分の不甲斐なさが書かれており、卒業後8年間ミュージカルの関係の勉強やステージを経験して、普通の仕事で生計を立てながらがんばってきたことが書かれていました。そして、ようやくこの大きなステージのキャストオーディションに合格したので、私に見てもらって話がしたい。とのことでしたので、私も彼女がどのように成長したかを楽しみにしていました。
彼女は、中3の時の音楽の先生から影響を受け「音楽の先生になろう!」と決心しました。ところが、ピアノも習ったことがなく、歌は好きでいつも歌っていたようなんですが、前途多難な感じでした。「桜丘に入って専門的に音楽を勉強したい」との決心が固く大変情熱的で、私にすがるような感じでした。(ちなみに、竹内愛先生も、星野早紀先生もそんな感じでしたが今はご覧のとおり立派に声楽を続けていますね。)
彼女の救いは、学校の成績がオール5に近い生徒でしたのでレッスンを始めることにしました。東京藝大に進学した増田達斗君や県芸大の楽理科に進学した畑陽子さんが在籍していた優秀な学年で、私が担任を2年間受け持ち、彼女は3年間室長を勤め私の片腕となり、同時に混声合唱部が立ち上がった時でもあり、いつも一緒に行動していたという感じでした。私のいう事を100%理解しようと努力し実行し、信頼してくれました。彼女はからだが小さく声帯も短く薄いので、いつ声帯が成熟するのかも見極めることが難しかったので、初めから愛教大を目指すことにしました。しっかり勉強をして見事合格しましたが、卒業演奏会のオーディションにはとおりませんでした。彼女は本当は進路を達成するよりも、他の声楽の人たちのように豊かな響きのある声を出したかった。増田君や畑さんのように自由に音符が読めて頭の中にハーモニーが響くようになりたかった。のだと思います。手紙には「ダメダメだった私に・・・。」と書かれていましたが、私にとって彼女は愛するべき優等生でスーパーリーダーでした。だれよりもクラスメイトの事を気づかい頼りにされていました。努力家で、努力しても自信がないのでテストでうまくいかずにいつも崩れるように泣いてしまう彼女に、私は絶えず真剣に向き合いました。何かがあるとすぐに感謝のお手紙をくれて、人柄はだれよりも素晴らしかったと思えました。
でも、私がこうして一生懸命教えた生徒でも「卒業」という日を境に、私にもクラスのみんなにも会うことなく別れ、音信不通になってしまうことがとても信じられませんでした。でも、先日とある人に「先生は一生懸命育てた生徒さんに、卒業しても頼って来なさい。と言いたいところでしょうが、自信が持てるまでみてもらわない。としている生徒さんもいるのではないでしょうか」ということばを聞いて心が晴れました。
大学に入っても、レッスンを受けにくる生徒や、東京に進学しても帰ってきたら、私の所に戻ってくる生徒もいます。そうした生徒達も、結婚したりすると年賀状のやりとりだけになってしまいます。でも、それは生徒達が音楽から少しでも離れてしまうと私に会いにくいのだということもわかりました。私に良い歌をうたう自分を見て欲しいのは当然ですね。私みたいにずっと歌や音楽に集中できて、おまけに母校に帰って、自分を育ててくれた先生の後を継げるような人生を送れるような人はほとんどいませんね。私の方が特別でした。
彼女に再会できてとても幸せでした。彼女は誰から見ても立派に歌い演じました。ミュージカルの内容は、戦国時代に歌や踊りに命をかけた男女の物語。一生歌い続け、この地域の子どもたちにも歌や踊りを教えて行きましょう!などというせりふもあり、山三の生き方が私自身と重なることもあり、嗚咽がとまらずハンカチがグショグショになりました。隣に座っていた人は女優のような人でしたが、私の様子を感じてさぞ劇に集中できなかったのではないかと思います。(ごめんなさい!)
脚本の構成も、ここは「ロミオとジュリエット」かな?とか、ここは「ハムレット」かな?とかわかりやすく、大島ミチルさんらしい音楽で素直に劇に没入することができました。オーケストラはセントラル愛知交響楽団。うらやましい限りです!
帰りはみんなでお好み焼きを食べに行きました。ミュージカルの感想などを聞きたかったのですが、生徒達はみんな私の前で緊張していたので、勉強会みたいになってしまうといけないのでやめました。お好み焼きをさっと6等分に切り分ける私のへらさばきに妙に感動されました。先生は音楽しかしていないように見えて、1人暮らしが34歳まで続いたので、自分で何でもできるんですよ~!
後方のお花はカンタービレ父母の会から千紗先生に贈られたものです。
素晴らしいダンスを披露した千紗先生を囲んで。
背が生徒達に負けてますがステージではビックに見えましたよ!
ちあきさんも一緒に。ダブルちあきですね。